2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20602009
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
岩瀬 敏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90184879)
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Keywords | 慢性痛 / 動物モデル / 筋障害 / 自律神経 / 免疫・炎症 / グリア / 分子生物学 |
Research Abstract |
最終年度であることから、開発した2種の運動器障害性慢性痛モデルラットにおけるこれまでの研究成果の取りまとめを主に行なった。(年度中に熊澤孝朗客員教授急逝のため、代表者を交代) 1) 筋侵害性モデル(LPSと高張食塩水を一側腓腹筋に注入):免疫・炎症刺激(LPS)により末梢組織のバックグラウンドを作った上で侵害刺激(高張食塩水)を与えるモデルであり、低濃度LPS前投与群では両側足底で10週以上のhypersensitivityが起こる。その亢進は二相性を示し、神経ブロック実験から急性期では一時的な脊髄感作、慢性期では中枢における何らかの可塑的変化が起こっていることが推察された。高濃度LPS前投与群では急性期には強い亢進をみせたが、慢性期の亢進は完全に阻害された。このことから、本モデルにおける慢性痛の発症は、単に末梢組織の傷の大きさではなく、免疫・炎症系と侵害刺激の微妙な関わり合いによることが明らかになった(European Journal of Painに発表、Faculty of 1000に選定)。慢性痛発症群と阻害群で、脊髄IL6, TNF-α, TLR4等のPCR定量を行なったが、現段階では明確な違いを検出できていない。採取時期・部位の検討が必要とされた。 2) ギプス固定モデル(一側下肢ギプス固定による):本モデルも足底の10週以上のhypersensitivityを呈する(投稿中)。尾など離れた部位にも痛み行動亢進が観察され、脊髄ミクログリアとアストロサイトの活性も腰髄から仙髄へと移行することが観察された。自律系変化として、ギプス固定期では交感神経機能亢進、慢性期ではその低下が示唆された(投稿準備中)。この血圧プローベを埋め込んだ実験では、寒冷曝露実験に加えて、自律神経遮断薬を用いた実験を行ない、我々の周波数解析法では、血圧MFが血管運動性、HFが心臓性の交感神経活動を表わしていることを認めた(投稿中)。
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