2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20612002
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 伊知朗 茨城大学, 工学部, 准教授 (20354889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友寄 克亮 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携研究員 (10455909)
山田 太郎 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 助教 (40455910)
日下 勝弘 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 准教授 (10414591)
大西 裕季 茨城大学, 工学部, 産学官連携研究員 (50455911)
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Keywords | J-PARC / 生体高分子用中性子回折計(iBIX) / 中性子結晶解析 / 水素 / 水素結合 / タンパク質 / 水和水 |
Research Abstract |
J-PARC物質生命実験施設(MLF)において、生体高分子用中性子回折装置(iBIX)が、我々のグループにより本格供用されている。今年度は、複数のタンパク質のデータ測定を完了し、そのうち120kW出力時の測定データの結晶構造解析が完了した。標準タンパク質でもある核酸分解酵素リボヌクレァーゼAであり、体積約5mm^3で10日余の測定で目的の水素位置および水の向きまで確認できた。この結果から、1mm^3の試料結晶体積があれば、J-PARCが1MWになったときには3日程度で測定が完了できるという予想が正しいことが確認できた。そのほか、アミロイド病因タンパク質(結晶体積約2.5mm^3)、ヘモグロビンタンパク質(1辺の格子長約200A)のフルデータ測定にも成功し、現在解析を進めている。これらは、結晶の大きさ、結晶格子の大きさともに、従来型の中性子装置では測定が困難と思われるクラスにあたり、その測定に成功したことで、新型中性子装置iBIXの高性能ぶりが確認できたといえる。 また、従来装置による測定で、トリプシン阻害剤複合体については、中性子構造解析が完了し、酵素活性状態におけるプロトン移動の情報、分子内部の水の振る舞いから判明した酵素反応の進行状況、水分子の強固な水素結合から判明した阻害剤の阻害機構など、中性子解析による水素位置情報が分からないと、はっきりとはいえない実験事実が判明した。 さらに、これまで得られた生体高分子の中性子解析結果から、タンパク質におけるヒスチジンのプロトネーションや水和水の水素結合の性質や特徴を統計的に調べることで、タンパク質がいかに巧妙に、分子レベルで機能しているかの知見を得ることができた。
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Research Products
(24 results)