2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所場観察によるマンガン酸化物の超巨大磁気抵抗発現機構の解明
Project/Area Number |
20612005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 渉 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (90333319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 嘉高 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (70201374)
上野 秀樹 理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 専任研究員 (50281118)
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Keywords | 超微細相互作用 / γ線摂動角相関 / 超巨大磁気抵抗 / RIビーム / ペロフスカイト / 核物性 / マンガナイト |
Research Abstract |
ペロフスカイト型希土類マンガン酸化物は、超巨大磁気抵抗効果を示すことで知られている。本研究では、γ線摂動角相関法によって、極微量の不純物プローブ原子を試料中に導入し、プローブ周辺の局所的な電磁場を直接観察することを目的として実験を行った。 初めに、これまでに希土類のサイト(Aサイト)における内部磁場に関して情報を得ているLa_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3を合成し、粉末X線回折パターンと磁化の温度依存性を調べ、目的の試料が合成されていることを確認した。この試料に塩化インジウム(^<111>In)溶液を滴下し、焼成後、^<111>Cd(←^<111>In)をプローブとするγ線摂動角相関測定を行った。得られた摂動角相関スペクトルは、単一の電場勾配を仮定した摂動係数で解析可能であり、プローブは比較的対称性の良いサイトを占有していることが明らかになった。しかし、磁気転移点以下でも内部磁場は観測されず、電場勾配の顕著な温度依存性も見られなかった。この結果は、^<111>Cd(←^<111>In)プローブが占有する本来のサイトの情報を正しく与えている可能性もあるが、合成試料に塩酸溶液を滴下したことによって、試料の構造が損なわれた状態を反映していることも考えられる。従って、プローブ原子の導入法として新たにイオンビームのインプランテーション法を採用した。実験は日本原子力研究開発機構のタンデム加速器とオンライン同位体質量分析装置を併用して行った。^<19>Fビームと^<96>Moターゲットによる核反応生成物(^<111>Sb,^<111>Sn,^<111>In)を電場で加速してオンラインで試料に植え込み、γ線摂動角相関測定を行った。試料の焼鈍後の摂動角相関スペクトルは単一の電場勾配を仮定して解析できることが分かったが、プローブ周辺の電荷分布の非対称性が大きく、塩酸溶液を滴下した場合と全く異なる結果が得られた。現在、プローブの占有位置について検討中である。
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Research Products
(3 results)