2008 Fiscal Year Annual Research Report
高効率パルス中性子非弾性散乱実験を実現する革新的中性子チョッパーの開発
Project/Area Number |
20612016
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中村 充孝 Japan Atomic Energy Agency, J-PARCセンター, 研究副主幹 (00370445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽山 和彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (90343912)
中島 健次 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (10272535)
梶本 亮一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (30391254)
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Keywords | 中件子散乱 / パルス中性子源 / チョッパー型分光器 / J-PARC / 量子ビーム |
Research Abstract |
パルス中性子源におけるチョッパー分光器は代表的な中性子非弾性散乱測定装置であり、数多くの重要な科学的知見をもたらしてきたが、信号が微弱であることから、極めて長い測定時間を要するという問題があった。通常、チョッパーによって選択される入射中性子エネルギーは単一であるが、研究代表者らは、複数の入射中性子エネルギーを選択して試料まで導き、中性子非弾性散乱実験の測定効率を飛躍的に高める手法を提案している。しかし、一定の時間間隔で機械的に開口する従来のチョッパーでは、複数の入射中性子エネルギー全てに対して分解能を最適化することは不可能であった。そこで、研究代表者らは中性子スーパーミラーをチョッパーのスリット部に適用することで複数の異なる入射中性子エネルギーについて分解能を最適化できることを提案しており、本研究計画では、新規チョッパースリット材を実用化し、チョッパー型分光器の大幅な測定効率の向上を実現するための基盤研究を進めている。 研究初年度である平成20年度は、「スリット材の力学特性評価」と「中性子吸収材の選定および積層方法の検討」を重点的に推進した。「スリット材の力学特性評価」では、中性子吸収材+中性子スーパーミラー+中性子透過材(ウェハー)の積層構造を有するスリット材の引張強度、圧縮力、曲げ力等の力学特性を評価するための環境を整備した。さらに、「中性子吸収材の選定および積層方法の検討」では、中性子吸収材を構成するGd及びBのスパッタリング技術を確立するため、原子力機構が所有する電子ビーム蒸着装置及びイオンビームスパッタリング装置の整備を進め、Bスパッタターゲットの試作を実施した。平成20年度に実施した研究内容は、次年度以降に実施予定である実用機の最終デザイン確定及び製作にあたって必要不可欠な基礎データかつ基盤技術であり、当初計画通りに研究を進捗させることができている。
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