2009 Fiscal Year Annual Research Report
高効率パルス中性子非弾性散乱実験を実現する革新的中性子チョッパーの開発
Project/Area Number |
20612016
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中村 充孝 Japan Atomic Energy Agency, J-PARCセンター, 研究副主幹 (00370445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽山 和彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (90343912)
中島 健次 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (10272535)
梶本 亮一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (30391254)
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Keywords | 中性子散乱 / パルス中性子源 / チョッパー型分光器 / J-PARC / 量子ビーム |
Research Abstract |
パルス中性子源におけるチョッパー分光器では、非弾性散乱信号が微弱であることから、極めて長い測定時間を要するという問題があった。通常、チョッパーによって選択される入射エネルギーは単一であるが、研究代表者らは複数の入射エネルギーを試料まで導くことで中性子非弾性散乱実験の測定効率を飛躍的に高める手法(Multi-Ei法)を提案し、研究開発を進めてきた。 平成21年度は、J-PARC/MLFに設置されているチョッパー分光器「四季」においてMulti-Ei法の実証実験に世界で初めて成功した(M.Nakamura et al.,J.Phys.Soc.Jpn.78(2009)093002)。本論文はJPSJ誌のEditor's Choiceに選ばれ、新聞報道もなされるなど国内外で非常に高い評価を得た。加えて、Multi-Ei法の測定効率をさらに向上させることを目的として、以下のような研究開発を進めてきた。中性子スーパーミラーを貼付したスリットパッケージを試作し、J-PARC/MLFのBL10において中性子透過率のエネルギー依存性を飛行時間法で測定した。この実験から、中性子スーパーミラーを貼付することによる透過率の向上とそのエネルギー依存性が設計通りの性能を実現していることが確認できた。さらに、パルス中性子の発生周期と同期する回転制御技術の目処が立ち、回転試験機の実機製作をスタートさせた。当初の計画では、パルス中性子の発生周期とは無関係に単に高速回転する試験機を製作する予定であったが、今回、制御技術の目処が立ったことによって、本来の使用目的であるパルス中性子源での回転試験及び性能評価を実施することが可能となる。このように、平成21年度に実施した研究では当初の計画をも上回る成果が出始めるなど、順調に研究を進捗させることができている。
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Research Products
(30 results)