2009 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカの農園・農村の母子保健の向上A・Senの潜在能力アプローチに基づく研究
Project/Area Number |
20651065
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Research Institution | Kyoto Municipal Junior College of Nursing |
Principal Investigator |
磯邉 厚子 Kyoto Municipal Junior College of Nursing, 看護科, 講師 (40442256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 敦子 三重大学, 医学部, 助教 (10363201)
石村 久美子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90280073)
三木 真知 京都市立看護短期大学, 看護科, 教授 (20190613)
坂本 千科絵 甲子園大学, 栄養学部, 助教 (20299241)
小関 佐貴代 甲子園大学, 栄養学部, 准教授 (70230315)
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Keywords | 母子保健 / 農園・農村 / 潜在能力アプローチ / 格差と不平等 / 福祉政策 |
Research Abstract |
平成21年2月の農村の妊婦90名の健診結果及び分析を「第24回国際保健医療学会学術大会」にて、妊婦の基礎的潜在能力及び妊婦の特定の機能である健康管理能力(以下セルフケア能力)について発表した。また「独立行政法人国立女性教育会館研究ジャーナル14号(テーマ:人権)」及び「立命館大学先端総合学術研究科Core Ethics 6号」にて、妊婦の健康と潜在能力について発表した。妊婦の貧血ややせと低い教育及び所得水準との関連性がみられた。家族計画の意思決定や社会参加の不足、栄養の家庭内分配の不平等も妊婦の健康に影響していると示唆された。 平成21年8月、政情不安で前年中止していたヌワラエリヤ県の農園で妊婦健診を行った。農園の妊婦(農園労働者及びその他の妊婦)計113名の健診を行い、データ件数目標200名を達成した。今回の農園での結果は、妊娠全期間を通したBMI平均値は農園労働者52名が21.6,主婦その他58名は22.6であった。経産婦81名中異常出産例が29例あり、うち死産及び低出生体重児件数は、農園労働者に4件及び10件みられ、主婦その他よりも多かった。教育及び所得水準においても、農園労働者は低水準であった。妊婦のセルフケア能力である栄養に関する知識はほぼ全員にあるものの、実際には、穀類摂取に偏り、たんぱく源が極めて少なかった。水汲みなどの過酷な家事労働や、医療へのアクセスの困難さ、意思決定能力の脆弱さが背景にみられた。農園労働者のBMIの低さは屋外労働における消費エネルギーに対する栄養必要量低下が考えられ、雇用条件との関連性もみられた。妊娠初期からBMIが低く、元々栄養状態がよくないことから、現在、主食や副食食品の生化学分析を行っている。これらの結果もふまえ農園・農村の母子の健康を達成するための潜在能力を追求している。
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