2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20670001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00272477)
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Keywords | 発達 / 脳 / 運動 / 知覚 / ニューロイメージング / 音楽 / 発達障害 / 言語 |
Research Abstract |
1.大脳皮質の機能的発達における領域固有性と一般性 成人の安静時の脳の自発活動を、近赤外分光法とfMRIとで同時計測したデータの解析を行い、両計測手法の一貫性を確認するとともに、近赤外光法によって脳全体の主要な機能的ネットワークの情報を取得できることを明らかにした。また、乳児の睡眠時の自発活動と刺激による誘発活動を近赤外光法で計測した。これらのデータについて、位相ダイナミクスを抽出し、自発活動と誘発活動との関連性について分析を行った。 2.音楽・言語の知覚と生成 3ヶ月児において、音楽にあわせて身体運動を同期させるエントレインメントの能力があるケースを見いだし、音楽の発達に関する初期の機構を示した。また、乳児の発話のデータベースの分析を行い、音韻についての子音・母音・子音の系列順序の発達が、調音器官の協調機構の発達と関連していることを発見した。これは身体の力学的性質が、言語のルール生成の拘束条件になっていることを示しており、力学系と論理をつなぐものと考えられる。 3.新生児期の自発運動と発達予後 自発運動と発達予後の関係に関するデータを分析し、早産児の満期の自発運動の特定の特徴が、3歳時の運動及び認知の遅滞と関連していることを発見した。 4.学習と睡眠 3ヶ月の乳児において、モビール課題における学習が睡眠中の脳活動に反映する仕組みを調べた。1日目に睡眠時の脳の自発活動を近赤外光法を用いて計測し、2日目にはモビール課題の前後で自発活動の測定を行った。 5.視線に反映する認知発達 アイトラッカーを用いた乳児の視線計測を行い、聴覚刺激の音高が、途中で消失した視覚刺激の上下方向への探索的視線移動に影響を及ぼすことを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大脳皮質の機能領域の発達に関する「領域固有性と一般性」や「U字型発達」については、ネットワーク機構を含めて明らかにできたという点では計画以上に進展した。「多重時間スケール」や「力学と論理」については、自発運動の生成と新奇な運動学習、発話の発達、脳の自発活動とその変化、長期的な認知発達等の研究が進行中である。したがって、総合的には、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「領域固有性と一般性」や「U字型発達」に関連する脳の機能発達の研究はさらに発展させる。「多重時間スケール」や「力学と論理」に関わる現在進行中の研究を継続し、それぞれの研究での結論を得る。これらの成果から、「知の起源」に関する発達の機構について、一般的な原理と考えられる性質をまとめる。特に、多重時間スケールの問題に関連する睡眠の研究については、睡眠そのものを特徴づけるためのマルチモーダルな計測の必要性が生じたため、可能であれば、新たな研究課題として発展させたいと考えている。
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Research Products
(26 results)