2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系の恒常性維持および破綻機構の解明に基づく自己免疫疾患の治療法開発
Project/Area Number |
20679005
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安友 康二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30333511)
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Keywords | 自己免疫疾患 / ゲノム解析 / Notch / Tリンパ球 / 転写調節 |
Research Abstract |
自己免疫疾患は根本的治療のない難病であり、自己免疫疾患の病因およびその治療法を開発することは社会的に急務の課題である。その課題克服のために、免疫系の活性化を調節する分子群ネットワーク機構を解明しその破綻機序を解明することは必須の方策である。また、自己免疫疾患の発症には遺伝的素因が深く関与しており、遺伝学的視点からの研究は原因解明に大きく貢献できると考えられる。 今年度の研究から、Notchシグナルは記憶Tリンパ球の維持に寄与することを明らかにした。RBP-Jを欠損したCD4陽性Tリンパ球では、記憶Tリンパ球への分化はコントロールと比較して同等に可能であるが、記憶Tリンパ球の維持にはRBP-Jが必須であった。さらに、その欠損がSTAT5を活性化させることで、キャンセルさせるかどうかを検討したが、STAT5ではRBP-J欠損記憶Tリンパ球を維持させることはできなかった。以上の結果から、Notchシグナルによる新規の記憶Tリンパ球維持機構が明らかになった。今後は、Notchシグナルがどのような標的遺伝子を制御して記憶Tリンパ球を維持しているかを解明することが重要である。 自己免疫疾患を発症する各種の遺伝性症候群の原因遺伝子の同定研究を実施している。原因遺伝子の同定に至った症候群については、その分子の機能解析を目指すために、同じ変異を持つノックインマウスを作製している。そのマウスを解析することでこれまで知られていなかった新たな免疫調節機構および自己免疫疾患の病態発症機構が明らかになると期待できる。
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Research Products
(3 results)