2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域福祉の持続的推進のあり方と財源確保の方法論についての研究
Project/Area Number |
20683006
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
徐 明ほう 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 講師 (40433479)
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Keywords | 地域福祉 / 福祉立地 / 社会保障 / 自主財源 / 地方分権 / 社会保障構造改革 / 三位一体の改革 |
Research Abstract |
本研究では、内需刺激につながる新たな産業として「福祉産業」に注目し、将来人口構成を踏まえ、高齢者福祉体制の充実を福祉産業の突破口とした。「福祉産業説」の立証条件の究明により、新たな概念として「福祉の生産性」を確立させることは可能であると考えた。「福祉産業」や福祉立地の条件を問う前に、市民の福祉意識を把握する必要がある。市民の福祉への捉え方は、市政方針に影響を与え、市民の支侍・合意なしには、持続性のある「福祉でまちおこし」は成り立たないと考えたからである。 検証地域として、研究当初、A市とB市とC町という3つの小規模自治体を取り上げる予定であった。A市とB市はともに平成大合併を行ったのに対し、C町は平成大合併を行うことなく、今日も高齢者福祉体制の充実をキーワードにしたまちづくり政策を継続している。また、財政力指数がA市とC町は0.2台であったのに対し、B市は0.3台であった。後の「現在までの達成度」で述べる理由により、検証地域はA市とB市に変更し、両自治体で行った調査結果の分析により仮設の検証を試みた。 A市とB市で実施した市民福祉意識調査で得た主な結果として、市民の福祉意識は地域性と深い関連性を持ち、外部的要因と内部的要因により、福祉意識は可変的なものであることがわかった。外部的要因として、市町村合併、三位一体改革、社会保障構造改革、グローバル経済の変動が挙げられる。 他方、内部的要因には、自治体の市政方針、産業構成、市民の経済基盤、住民参加の実践手法・経験の深度が挙げられる。具体的には、(1)市民の福祉意識は、居住満足度や年齢層により捉え方に相違があると同時に、同じ年齢層内でも福祉を多面的に捉えていることがわかった。(2)地域福祉推進の前提条件として、市民の居住満足度の向上、税金使途に対する公平感の浸透が挙げられる。(3)福祉施策の優先順位は市民の経済基盤の変化により変わり、「福祉」と「経済」は車の両輪という定説と市民の受け止め方との間に温度差が存在していることがわかった。(4)日頃の近所付き合いの姿勢と町内会行事への積極的参加は、個人の介護力と地域力の向上につながることがわかった。
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Research Products
(1 results)