2008 Fiscal Year Annual Research Report
カムランド検出器による150Nd二重ベータ崩壊の研究
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20684007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 斉 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (60400230)
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Keywords | 素粒子実験 / ニュートリノ / マヨラナ質量 / 二重ベータ崩壊 / カムランド出器 / Nd同位体 / Xe同位体 / 液体シンチレータ |
Research Abstract |
ネオジウム(Nd)試薬を使用して、液体シンチレータ(LS)の開発を行い基本性能の評価を行った。Nd化合物はKamLANDのLS中入の溶解度は小さく、1wt%の溶解度を得るためには、界面活性剤・シンチレータカクテルを併用する必要があることが判った。現在までに作成された、無機Nd化合物含有LSは紫もしくは青色に着色している。このため透過率、発光量は現在のKamLAND-LSと比較して大きく性能が劣化している。現在は、LSが溶解によって着色されないNd化合物の探索を継続し、有機Nd化合物・Ndを含んだ量子ドットの可能性について検討を続けている。 Nd核種の研究開発と平行して、他核種の可能性に関しても検討を行った。その過程で、キセノン(Xe ; 2重べータ崩壊核^<136>Xe)が有力な核種であることが判ってきた。そのためXeを溶解したLSの評価を行った。XeのKamLAND-LSへの溶解量、発光量および透過率の測定を行い、発光量がXeの溶解によって10%低下することが判明した。またXe溶解によるLS密度の変化(おおよそ2%増加)を調整するためLS構成溶媒であるドデカン(NP ; 密度小)とプソイドクメン(PC ; 密度大)の混合比を変更して、同様の性能評価を行った結果、発光溶媒であるPC比の減少による発光量の低下が激しく、発光溶質のPPO溶解量の追加では回復できない事が示された。そのため、NPよりも密度の小さいデカンを主溶媒に変更して性能評価を行い、KamLAND-LSと比較して性能劣化がないXe含有LSを作成することに成功した。 現在得られている溶解LS性能から、最も有力な検出器デザインを検討しKamLAND検出器の内部に3mの小規模バルーンを新規に導入し、外部起因のバックグラウンドの抑制、透過率低下による検出光子数(エネルギー分解能)の低下阻止、溶解核種の必要量抑制を実現できることを示した。このデザインを元にバックグラウンドの評価を行いXe核を使用した場合には、有効マヨナラ質量0.1eV以下の感度を有することを立証できた。
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