Research Abstract |
本研究では, ナノメートルの領域で超高速かつ超高精度に位置決め制御を行なう技術をナノスケールサーボと定義し, これを実現するための基礎技術を研究することを研究全体の目的とする。その応用は, ハードディスクや光ディスクなどストレージや半導体や液晶の製造装置, 新材料の開発や原子・分子レベルの測定や分子や原子の操作, ナノスケールロボティクスと多岐に渡る。本研究課題では, 申請者の研究室にて開発したその基礎制御技術を発展させ, 我が国の科学技術の進歩に貢献するために, 原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope : AFM)の深針として使用されているナノプローブと位置決め制御技術と, 新しいナノスケール位置決めステージ(以下ナノステージ)の製作及びその制御に関する研究を行なう。 申請者はこれまでに制御工学的なアプローチにより, AFMを高速高精度化することに成功した。この成果は, ハードウェアの大きな改造が必要ない上に, Z方向の分解能や精度も高く, 産業界からより実用的な手法として注目を集めている。しかしながら, 従来よりも10倍以上の高速化を達成したので, 従来は大きな問題とはならなかった制御対象め非線形性の影響を考慮する必要が生じた。そこで本研究では, AFMにおける非線形性を補償できる画期的な制御技術の研究開発を行った。 また, 昨年度までに研究をしたAFMの「表面形状オブザーバ」に関する技術においては, 製品での実用化に向けて大きく進展させた。 さらに来年度に製作する計画であった多自由度ナノステージに関しても, 一部先行して研究を開始させることができ, 基本設計がほぼ完了した。
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