Research Abstract |
本年度はナノステージの新しい設計法と制御法の研究開発を行った。スキャン方向と姿勢方向に自由度を持つ大型超精密多自由度ステージのミニモデルを製作した。このような並進方向と姿勢方向にも自由度を持つ高精度ステージの機構(形状,寸法,センサ及びアクチュエータの数と位置)と制御性能との関連性は,これまでに明らかにされていない。そこで本研究では,力学モデルから機構系と制御対象の伝達関数の諸特性の関連性を解析し,制御をしやすいような形状を明らかにすると共に,機構系と制御系の同時最適設計を行った。この装置は,実際に産業界で活用されている露光装置への応用を意識して設計製作したが,同サイズのステージを大学の研究室に設置することは困難であったため,本研究では,5分の1以下にスケールダウンをした,1.5メートル四方に収まるサイズのステージを製作した。実際の露光装置と性質がかけ離れないよう,有限要素解析により周波数特性や振動モードが適切になるような設計を行った後に,実際に試作をした。 製作したナノステージは,シャフト型リニアモータとエアガイドを用い,リニアレーザスケールにより1nmの分解能を達成した。インバータにより駆動するが,従来のような理想電流源と仮定をした設計ではなく,スイッチング動作を陽に考慮したPWMホールドモデルに基づく制御系の設計を行った。 また昨年度研究を行った,原子間力顕微鏡のナノスケールサーボに関しても引き続き研究を行い,より高性能を達成し,その成果は実用化された。
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