2008 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁性金属酸化物表面における触媒反応素過程の原子スケール直接観察
Project/Area Number |
20686044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 豊明 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (70308196)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / 触媒・化学プロセス / 水晶振動子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
金属酸化物は、触媒や光学・磁性材料、半導体デバイスなど多くの分野に応用可能な機能性物質の一つである。その表面上で進行する物理的・化学的現象の本質を原子・分子レベルで理解することは、現在社会的要請が高まっている次世代技術の開発に不可欠である。特に、イオン性の化合物である金属酸化物では、個々のイオンの局所的な配位環境が表面での物理的・化学的現象に大きく影響することが知られており、局所領域での現象を区別して観察する必要がある。また、これらの物理的・化学的反応は温度や圧力といった条件にも依存するため、その本質に迫るためには反応環境の制御も欠くことができない。本研究では、温度制御かつ圧力制御が可能な非接触型原子間力顕微鏡(NC-AFM)を作製することで、特に走査トンネル顕微鏡(STM)では観察困難な絶縁性金属酸化物の構造・電子状態、さらにはその表面局所領域での反応素過程を、原子オーダーで明らかにすることを目的としている。 本年度は、温度制御かつ圧力制御しつつ高分解能観察が可能な非接触型原子間力顕微鏡(NC-AFM)システムの設計を行った。本装置で最も特徴的かつ独創的なのが、NC-AFMのカンチレバーに水晶振動子を用いる点である。水晶製カンチレバーはバネ定数が数千~数十万N/mと非常に剛性が高いため周囲の気体の粘性に影響されにくく、大気中でも安定した動作が可能である。ただし、剛性が高いことは微小な力を検出する際にはマイナス要因として働くため、信号検出には従来以上に注意を払う必要があり、カンチレバー近傍に電流/電圧変換アンプを配置するといった工夫により広感度かつ低ノイズの検出系を作製する必要がある。そこで、現有のAFMに水晶振動子センサーを導入し、検出計の試作および性能評価を行った。その結果、サブ・ナノメートルの分解能を有し、AFMリソグラフィーにも応用可能であることが確認できた。
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