2009 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁性金属酸化物表面における触媒反応素過程の原子スケール直接観察
Project/Area Number |
20686044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 豊明 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (70308196)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / 触媒・化学プロセス / 水晶振動子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
金属酸化物は、触媒や光学・磁性材料、半導体デバイスなど多くの分野に応用可能な機能性物質の一つである。その表面上で進行する物理的・化学的現象の本質を原子・分子レベルで理解することは、現在社会的要請が高まっている次世代技術の開発に不可欠である。特に、イオン性の化合物である金属酸化物では、個々のイオンの局所的な配位環境が表面での物理的・化学的現象に大きく影響することが知られており、局所領域での現象を区別して観察する必要がある。また、これらの物理的・化学的反応は温度や圧力といった条件にも依存するため、その本質に迫るためには反応環境の制御も欠くことができない。本研究では、温度制御かっ圧力制御が可能な非接触型原子間力顕微鏡(NC-AFM)を作製することで、特に走査トンネル顕微鏡(STM)では観察困難な絶縁性金属酸化物の構造・電子状態、さらにはその表面局所領域での反応素過程を、原子オーダーで明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度に設計した温度・圧力可変非接触型原子間力顕微鏡(NC-AFM)システムを作製し、性能評価を行った。本装置では水晶製カンチレバーを力センサーに用いており、ハロゲンランプを用いた赤外線加熱により、AFM観察位置において試料温度を室温から600℃程度の範囲で制御可能である。また、AFMユニットおよびAFM真空槽は、全て金メッキ処理を施しており、部材表面におけるガス反応を極力低減させるよう、工夫を凝らしている。試料・探針を含むAFMユニット部はバネ吊りにし、さらに装置全体を空気バネにより除振台上に設置することで、外部振動の影響を低減させている。本装置を用いることにより、超高真空から大気圧まで圧力を変えつつ、さらに、試料温度を制御した状態で、絶縁体表面の原子構造をNC-AFMを用いて高分解能観察することが可能となった。
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