2008 Fiscal Year Annual Research Report
木本植物に発達した高効率な有機酸放出を可能にする新奇アルミニウム防御機構の解明
Project/Area Number |
20688006
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大澤 裕樹 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90401182)
|
Keywords | 酸性土壌 / 根 / プロアントシアニジン / ボーダーセル / フラボノイド |
Research Abstract |
高アルミニウム(Al)耐性種クスノキの根端を解析したところ、根冠側組織の最内層にプロアントシアニジン(PA)が集積すること、これらのPA集積細胞が高濃度のAl存在下でも分裂伸長後に脱落する間に表皮細胞が伸長することを明らかにした。一方、草本14種4品種はAl集積性の1種を除いていずれも根にPAを集積しないこと、さらにAlによるダイズ根の伸長阻害が表皮細胞の伸長阻害と一致することを明らかにした。約130種の木本種を解析したところ、全体のおよそ2/3に認められる根端のPA集積と、高Al耐性との関連を支持する以下の証拠を得た。1, 高Al耐性種の多く(11/14種)が根端にPAを集積する;2, Al存在下でも同様にPAを集積する;3, 根伸長の大きい高Al耐性5種は全てPA集積性である;4, これら5種全てで根冠側組織にPAが多く集積する;5, 根伸長の小さい2種を除くPA非集積種は全て(16/18種)非高Al耐性である;6, 木本種間で根伸長の大きい5種は全てPA非集積性である。一方、PA集積性16種がAl感受性であることから、高Al耐性を分けるPA集積の必要条件が存在する可能性が示唆された。根表面のPA分布は、頂端のみ(I型)、細胞伸長域まで(II型)、根全体(III型)に分かれ、I、II型は根冠側細胞に、III型は根冠側細胞と上皮組織(表皮細胞と皮層細胞)の集積に由来することを明らかにした。IからIIIまでのいずれのPA集積パターンにおいて高Al耐性種が存在することがわかった。これらの結果は、種や組織間で特異制御を受けるPA集積は木本根の成長発達に重要であり、これらの未知機能が高Al耐性を規定する上で必須となる可能性を支持する。さらに今後、PA構成の詳細、PA集積量の定量、PA発現部位の詳細を種毎に明らかにする必要がある。
|