2009 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカにおける農業生産構造の解明と農業・農村開発の方途に関する研究
Project/Area Number |
20688010
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
中曽根 勝重 Tokyo University of Agriculture, 国際食料情報学部, 助教 (10366411)
|
Keywords | アフリカ / 農業経済 / 農業生産 / 営農様式 / 国際協力 |
Research Abstract |
本研究は西アフリカ地域の農業生産構造の解明による農業・農村開発ための具体的方途を探ることにある。 本研究課題の2年目に当たる平成21年度は、当該地域における既存の文献と統計データの収集・分析および伝統的な農業を営む数か村(2~3か村)に現地実態調査の拠点を設け、(1)農家および集落レベルにおける営農体系の解明と農業生産構造分析、(2)農産物加工と流通システムの解明、(3)農民組織化の実態把握と参加型開発の可能性の検討、(4)営農技術の開発・普及システムおよび農民教育のあり方の検討、(5)農村社会システムと制度的改革、(6)農業開発政策の展開と課題、について実態調査を行った。 調査の結果、主に人口増加と市場経済化の進展を要因として、(1)土地の細分化と栽培作物の特化、(2)出稼ぎ農業の増加(農繁期のみ他地域で農業を実施)、(3)農外所得獲得への転換(農産物加工・販売へのシフト)、(4)農作業内容の変化(畜耕利用や化学肥料の投入)、などといった変化が顕著化してきていることが考察された。 こうした変化は、農業生産構造の改善による農作物の生産性向上や農作業効率の上昇を生み出しているようにも判断される。しかし、一方では、不安定な気象変化への対応や農業投入財のための貨幣獲得といったこれまでに必要の無かった技術や貨幣を必要とするため、農家間での貧富の格差が拡大しつつある。 こうした現象は、これまで長い年月をかけて培われてきた伝統的な農業から販売を目的とする商業的な農業への変化の一端と見て取ることもできるが、当該地域の農民すべてが、新しい技術や考え方を受け入れるためには、慣習や風土への対応が不可欠であることはいうまでもない。そのためにも、営農技術の開発・普及システムおよび農民教育のあり方の検討や農村社会システムと制度的改革についての分析が今後の課題として残される。
|