2008 Fiscal Year Annual Research Report
多機能高分子ナノミセル型遺伝子ベクターを用いた血管疾患の遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
20689024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大庭 誠 The University of Tokyo, 医学部・付属病院, 特任助教 (20396716)
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Keywords | 非ウイルス遺伝子ベクター / 遺伝子治療 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
本研究では全身投与で患部の標的化が可能な遺伝子ベクターの開発を達成するために、初年度である本年度は、1.新規機能性ブロック共重合体の設計、2.ジスルフィド架橋ミセル、3.環状RGDペプチドリガンドミセル、についてそれぞれ検討を行った。 1.新規機能性ブロック共重合体の設計 表面をPEGで覆われた高分子ミセルは、培地中での分散安定性の向上、血清蛋白や細胞表面との非特異的な相互作用の抑制、毒性の軽減などに寄与する一方で、遺伝子導入効率が低下してしまうというジレンマを抱えていた。本年度は、PEGとポリカチオンの間を、細胞内還元環境に応答して開裂するジスルフィド結合で連結することで、PEG化ミセルと同レベルの毒性を維持しつつ、PEGのないポリプレックスと同程度遺伝子発現させることに成功した。今後はin vivoでの評価も行う予定である。 2.ジスルフィド架橋ミセル ミセル内核にジスルフィド架橋を施すことで、培養細胞に対する遺伝子導入効率が上昇することを確認した。また、既存の遺伝子ベクターと比べて血中滞留性を向上させることに成功した。 3.環状RGDペプチドリガンドミセル 前述のジスルフィド架橋ミセルの表層に、内膜肥厚部位で過剰に発現しているαvβ3インテグリンレセプターを特異的に認識する環状型RGDペプチドリガンドを付与することに成功した。レセプター発現細胞に対する遺伝子導入実験では、その遺伝子導入効率が著しく上昇した。また共焦点顕微鏡を用いたミセルの細胞内動態観察により、遺伝子導入効率の上昇は、取り込み量の増加ではなく、細胞内動態の変化に起因することが明らかとなった。
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