2009 Fiscal Year Annual Research Report
多機能高分子ナノミセル型遺伝子ベクターを用いた血管疾患の遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
20689024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大庭 誠 The University of Tokyo, 医学部付属病院, 特任助教 (20396716)
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Keywords | 非ウイルス遺伝子ベクター / 遺伝子治療 / ドラッグテリバリーシステム |
Research Abstract |
本年度は、全身投与で患部の標的化が可能な遺伝子ベクターの開発を達成するために、1.ジスルフィド架橋ミセル、2.cRGD架橋ミセル、3.cRGD-PEG-PAsp(DET)についてそれぞれ検討を行った。 1. ジスルフィド架橋ミセル 細胞内の還元環境に応答して開裂するジスルフィド架橋を内核に施したミセルを用い、in vivo評価を行った。治療遺伝子として血管新生を阻害する可溶型のVEGFレセプター-1を発現するプラスミドを、モデルとして膵がんを皮下に移植したマウスを使用し、ミセルを尾静脈より全身投与したところ最適な架橋率のミセルにおいて有意にがんの増殖を抑制することができた。またその発現はがん選択的なものであり、GFP発現プラスミドを用いることでがん組織内の血管並びに間質の細胞での発現が確認された。 2. cRGD架橋ミセル 環状型のRGDペプチド(cRGD)は、内膜肥厚やがん周辺の増殖が昂進している血管内皮細胞や平滑筋細胞で過剰に発現しているαvβ3インテグリンレセプターを特異的に認識することが知られている。前述のジスルフィド架橋ミセル表層にcRGDを導入したところ、担がんマウスに尾静脈するとがん周辺の血管内皮細胞への集積性が向上することが明らかになった。また血管新生を阻害する治療遺伝子を搭載したcRGD架橋ミセルは、血管密度の低下と高いがんの増殖抑制を示した。 3. cRGD-PEG-PAsp(DET) 局所投与型遺伝子ベクターとして優れたシステムであるPEG-PAsp(DET)ブロック共重合体にcRGDを導入したcRGD-PEG-PAsp(DET)を合成した。インテグリンレセプター発現細胞に遺伝子導入を試みたところ、リガンド導入により遺伝子導入効率が増加した。
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