2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700423
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 正二 Kanazawa University, 保健学系, 助教 (70422657)
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Keywords | リハビリテーション / 神経筋接合部 / RNA |
Research Abstract |
筋収縮は脳からの指令が運動神経を通り、神経筋接合部を介して骨格筋へ伝達されることでなされており、運動神経と骨格筋間では運動神経終板から放出されたアセチルコリンが、筋細胞膜に存在するアセチルコリンレセプターと結合することで刺激を伝達している。神経筋接合部は常にリモデリングを繰り返しており、必要に応じて変化している。医学的リハビリテーションにおいて、骨格筋収縮機構に関する研究は重要であるが、運動負荷や廃用性筋萎縮による神経筋接合部の適応については不明な点が多い。そこで今回、筋収縮と神経筋接合部リモデリングに関する遺伝子発現の変化を解明する目的で、坐骨神経へ電気刺激を行い、肝細胞増殖因子(HGF)、HGF受容体(c-Met)、筋分化遺伝子(MyoD、myogenin)、筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)、Docking protein 7(Dok7)のメッセンジャーRNAの発現量を調査した。その結果、刺激後3日では、c-Met、MyoD、myogenin、MuSKにおいて有意な増加が確認された。HGF、Dok7においては増加していたが、その差は有意ではなかった。HGFは筋衛星細胞の活動を誘導するが、その際には、HGFを活動化するための特異的な蛋白質の修飾が必要であることが示されており、今回の結果からもHGF遺伝子の発現レベルの変化よりも筋衛星細胞の活性化に対して、特異的な蛋白質の修飾が必要であることが示唆された。また、Dok7によるMuSKの活性化はアセチルコリンレセプターの形成を誘導することが示されているが、今回Dok7遺伝子の発現はわずかな変化にとどまったことから、この間には未知の機構が関与しているのかもしれない。本研究により、HGFによる筋衛星細胞活性化機構の一部を明らかにした。 今後、HGFによる筋衛星細胞活性化に関与する特異的蛋白質との関連を調査する必要がある。また、Dok7およびMuSKの関連性についても詳細な検討が必要である。
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