2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の姿勢保持機能向上のための学習プログラム開発:視覚刺激への対応
Project/Area Number |
20700474
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Research Institution | Iwakuni Junior College |
Principal Investigator |
王 芸 Iwakuni Junior College, 幼児教育科, 専任講師 (80457275)
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Keywords | 姿勢制御 / 筋シナジー / 視覚 / 運動学習 / 筋電図 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、筋シナジーを手がかりとして高齢者の運動スキル学習効果について取り上げた。すなわち、視覚刺激に伴う高齢者の姿勢制御(姿勢変容)の学習効果について明らかにしようとした。今年度は、同意を得た健常高齢者8名を対象にデータ収集・分析を行った。被検者は、フォースプレート上にセットした、フットスキャンの圧力センサーの上に安静立位で姿勢を保持し、身体動揺課題について実験を行った。この課題では、被験者の前方1メートルの位置にモニター画面が設置され、リアルタイムでその被験者のCOPの位置とCOPの移動軌跡が提示された。その際、同時に用いた筋電図の記録から筋活動モードを同定した。被験者はメトロノーム(1Hz)に合わせ身体を前後方向にできるだけ広い範囲に動揺させた。被検者は、腕を前方で組み、視線は水平を保った。また股関節,膝関節を伸展位に保ち足関節のみで運動を行うよう指示され、45秒間試行した。 次の3つの条件で実験を行った:(1)被検者がモニター画面を注視しながら試行するフィードバック条件、(2)フィードバックを伴わない開眼条件、(3)閉眼条件である。分析に用いるのは1試行中の12サイクルの連続データとした。 その結果、健常高齢者においては、視覚情報による運動学習トレーニングによって筋活動パターンは健常若年者に類似した協調性(筋シナジー)へと変化した。これによって、高齢者においては、姿勢保持のための適切な学習条件が与えられることにより、その学習効果を明らかにすることができた。とくに、連続して移動する指標(標的)に対する、時間的、空間的な位置の予測と姿勢の対応方法が明らかにできる。これによって、高齢者の転倒防止対策や高齢者の交通事故予防の手がかりに、有用な示唆を得ることができると考える。
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Research Products
(5 results)