2008 Fiscal Year Annual Research Report
極域氷床コア中ダストの短周期シグナルの検出と古環境復元
Project/Area Number |
20710012
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
三宅 隆之 National Institute of Polar Research, 研究教育系, 特任研究員 (90390715)
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Keywords | 気候変動 / 氷床コア / 古環境復元 / ダスト / 高時間分解解析 |
Research Abstract |
本年度は、当初予定していた完新世、最終氷期末期(LGM)、最終氷期末期から完新世への移行期(Trermination I)の3つの異なる気候ステージに加え、Termination Iを除く従来より進めてきた最終間氷期以降の亜氷期、亜間氷期を含む異なる気候ステージを対象として、南極・ドームふじ基地で採取された氷床コアについて、微小固体粒子(ダスト)濃度およびイオン濃度の試料間隔数mm以下の高時間分解能の分析の取りまとめおよび解析を中心に行った。ダスト濃度とイオン成分のうち陸域起源物質のプロキシーであるカルシウムイオン濃度に関しては、寒冷な気候ステージであるLGMや亜氷期・亜間氷期(MIS3および4)と温暖な気候ステージである完新世や最終間氷期(イーミアン間氷期)とは、明瞭に異なった。すなわち、温暖な気候ステージでは、ダスト濃度、カルシウムイオン濃度ともに低く、1年から数年以下スケールの短周期での変動が見られた。一方寒冷な気候ステージではダスト濃度、カルシウムイオン濃度ともに高く、数年から10年スケールと温暖期に比較して長い時間スケールでの変動が見られた。これらは特に温暖な気候ステージでは、1年程度でのダスト濃度変動があることが示唆された。またカルシウムイオンとダストの濃度比は、寒冷な気候ステージに比較して温暖な気候ステージの方が、変動がより大きかった。また両者の相関は、LGMでは相関係数が0.9以上と非常に高かったのに比較して、完新世では、相関係数が0.3未満と対照的な結果となった。これらの結果はダストの供が、寒冷な気候ステージでは比較的均一化しているものの、温暖な気ステージでは1年から数年以下の短周期で変化している可能性を示唆しており、今後より詳細な検討を進める予定である。さらにダストのストロンチウム同位体比については、少量試料への対応について検討を進めた。
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[Presentation] A 720-kyear record of dust variability from the Dome Fuji ice core, Antarctica2008
Author(s)
Miyake, T., Y. Fujii, M. Hirabayashi, R. Uemura, T. Kuramoto, K. Goto-Azuma, H. Motoyama, Y. Iizuka, M. Igarashi, M. Kohno, K. Suzuki, T. Suzuki, K. Fujita, S. Horikawa
Organizer
American Geophysical Union 2008 Fall Meeting
Place of Presentation
アメリカ・サンフランシスコ
Year and Date
20081200
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