2008 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的処理法を用いた尿中医薬品の発生源処理法の開発
Project/Area Number |
20710064
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
柿本 貴志 Center for Environmental Science in Saitama, 水環境担当, 技師 (00462747)
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Keywords | 医薬品 / 電解処理 / 分子量分画 / 疎水・親水分画 / 尿酸 |
Research Abstract |
医薬品は摂取されると主に尿中に排壮され下水処理場へ導かれるが、水中から十分に除去されず環境中に排出されている。このような医薬品による人や生態系へ対する影響が危惧されはじめ、医薬品の環境中への排出量を削減するべく、下水処理手法の検討が行われている。医薬品の濃度に着目すると下水中で数ng/L〜数μg/Lのものが、尿中では数mg/L〜数g/L程度で存在し下水に比べると水量も少ないため、環境中への医薬品排出を管理するには尿中に存在する医薬品を(特に固定発生源で)処理することも効率的であると考えられる。 本研究では上述の課題へ直接電解酸化法を適用することについて検討しており、本法で医薬品を高効率で処理する能力を有するが、尿の成分により処理が妨害され処理速度が低下することが分っている。また尿中の主要成分の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリー(CV)で調べたところ、尿酸とアスコルビン酸が処理を妨害する可能性を有していた。 平成20年度は、尿中に存在している成分を分子量により分画(使用したろ過膜: 0.45μmメンブレンフィルター,分画分子量: 50KDa, 10kDa, 3kDa)し、各々の画分に対してCVを適用することによって、妨害物質の分子量特性をスクリーニング的に調べた。その結果、医薬品の電解処理を妨害する主な物質は分子量3kDa以下の画分に存在していた。また分子量3kDa以下の画分を疎水性・親水性により分画(使用したカートリッジは活性炭カートリッジ)をしたところ、尿中の主な妨害成分は活性炭に捕集された。尿中に存在する分子量3kDa以下の有機物のうち、活性炭カートリッジで捕集されたのは約2割であり、その2割の成分のうち尿酸はTOCで評価すると約3割を占める。以上の結果より、尿中に存在する医薬品の処理妨害物質は活性炭で捕集される程度の極性を有する物質であり、尿酸はその中でも主要な物質であることが示唆された。
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