2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710154
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小松 護 Kitasato University, 基礎研究所, 研究員 (40414057)
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Keywords | Streptomyces avermitilis / アミノグリコシド抗生物質 / ストレプトマイシン / カスガマイシン / リボスタマイシン / 抗生物生産 / ポリケチド抗生物質 |
Research Abstract |
本研究は放線菌S.avermitilisを用いた有用物質生産のための汎用宿主を構築することを目的とし、当該年度は、本来宿主が保持する二次代謝経路を欠失させたSUKA5株における種々の化合物に対する生産性を検討した。SUKA5へstreptomycin(SH)、kasugamycin(KSM)、ribostamycic(RBM)生合成遺伝子群を導入し、当菌が本来生産しないアミノグリコシド抗生物質の生産性を検討した。SUKA5のSM生産量は0.2mg/mlであり、WTと本来生産菌であるS. grriseusの約6倍と約3倍であった。KSMとRBMについては、WTは全く生産しなかったが、SUKA5では微量の生産性が認められた。また、ポリケチド化合物であるpladieaolideの生産性について検討した結果、WTは生産しなかったが、SUKA5株では本来生産菌であるS. platensisと比較しても、主成分とその他誘導体を含めると約1/2程度と非常に高い生産性を示した。以上の結果は、WTから目的化合物の生合成には不要な宿主自身の二次代謝産物生合成遺伝子群を欠失させたことにより、一次代謝系から得られる前駆体やエネルギーが導入した各生合成経路へ積極的に供給されたことを明確に示している。また、SUKA5におけるそれら化合物の生産性は予想以上に高く、培地組成等を含む詳細な培養条件の検討や各生合成遺伝子群特異的な転写調節因子のプロモーター置換による人為的な強制発現によって生産性を更に向上させることができると推測され、次年度において更に検討を加える。当該研究成果は、これまで行われてきた生産菌への変異導入によって行われてきた生産性の向上に加わる新たな次世代菌株育種法として非常に重要である。また、近年のゲノム情報の蓄積により、未知の二次代謝産物生合成遺伝子群が大量に見出されている中で、本来の生産菌での生産物の検出が困難な場合、SUKA5を宿主としてその高い物質生産性を利用することで、生合成遺伝子の導入のみで目的化合物の大量生産や生合成研究などに適用でき、応用研究のみならず、基礎研究分野においても重要な一端を担うものと期待される。
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