2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質代謝におけるD-プロリンおよびプロリンラセマーゼの機能解析
Project/Area Number |
20710169
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
吉川 尚子 Shizuoka Institute of Science and Technology, 理工学部, 講師 (30392533)
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Keywords | ラセマーゼ / D-プロリン / D型アミノ酸 / 脂肪組織 / 酵素 |
Research Abstract |
近年、数種のD-アミノ酸が哺乳類においても見出されており、D-プロリン(Pro)は、マウスの諸組織中に存在することが明らかにされている。D-プロリンの生合成酵素であるプロリンラセマーゼは、細菌類や寄生虫に存在することが明らかにされているが、マウスにおいてもプロリンラセマーゼをコードすると思われる遺伝子(MPR)が発現していることが明らかとなった。MPRはマウスの諸組織中に発現がみられるが、特に、脂肪組織において高い発現量を示した。さらに、高脂肪食を与えたマウスでは、普通食を与えたマウスよりも、MPRの発現量が低下していることが明らかとなったため、脂質代謝との関連性が示唆された。 このMPRがプロリンラセマーゼ活性を示すものであるか、マウスの脂肪組織から調製した粗酵素液と、大腸菌およびバキュロウィルスを用いて産生した組換えタンパク質を用いてプロリンラセマーゼ活性を測定したが、酵素活性は未だ検出できていないため、今後さらなる検討が必要である。MPRのタンパク質レベルでの発現についても、抗MPR抗体を用いたウェスタンブロッティングにより確認を行ったところ、脂肪組織、卵巣、副腎、腎臓において高い発現量がみとめられたため、MPRはタンパク質として翻訳され、脂肪組織において何らかの機能を示していることが予想された。寄生虫のプロリンラセマーゼの活性部位は、2つのシステイン(Cys)残基であることが同定されているが、MPRでは、この1つのCysが他のアミノ酸に置換されている。この変異により、MPRがプロリンラセマーゼ活性を示さない、他の機能を示すタンパク質である可能性も示唆された。
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Research Products
(1 results)