2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者福祉施設ケアワーカーのキャリア意識と性差に関する質的調査研究
Project/Area Number |
20710201
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
澤田 有希子 Osaka University of Human Sciences, 人間科学部, 助教 (60425098)
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Keywords | ケアワーカー / 性差(ジェンダー) / 性役割特性 / キャリア意識 / キャリアモデル / 役割期待 / 人材育成 / 内容分析 |
Research Abstract |
平成20年度は、調査の実施計画に基づき、男性ケアワーカー30名(継続調査24名含む)を対象とした半構造化面接法によるインタビューを実施し、男性ケアワーカーのキャリア意識と性役割特性の把握を中心に行った。インタビューデータは、内容分析を行うための手続き・準備として、(1)データのテキスト化、(2)テキストの整理、(3)コード化・概念カテゴリー作成までを進めてきた。 これまでの研究結果は、男性ケアワーカーの多くは比較的強いキャリア意識を持つが、その方向性は一様ではなく多様である可能性を示唆した。一定期間ケアワーカーとしての経験を積み、その後はケアマネジャー資格を取って独立することや、社会福祉士資格を取得して相談職に異動すること、あるいは施設長を目標としている人もいる。一方で、ケアワーカーとして、利用者との接遇を生き甲斐としており、生涯現場主義を通してケアワーカーを継続することを目標とする人もいる。いずれの場合にも、調査対象となった男性ケアワーカーは、福祉の世界の中で長期的に働いていきたいと考えている人が多く、将来のキャリアプランに見通しを必要としていることを本調査は明らかにした。 平成21年度には女性ケアワーカーを対象としたインタビュー調査を実施する予定である。既存研究やインフォーマルな聞き取り調査からは、男性と比較すると女性では、昇進という職場内キャリアよりも、むしろ資格取得やスキルの向上などの専門職キャリアに関心が強い傾向が見られるという。今後の調査を通じ、女性ケアワーカーの性役割特性やキャリア意識を把握し、キャリア意識と性差の関連性について男性ケアワーカーとの相違点を検証する。 現在、介護現場における人手不足は年々深刻化しており、ケアワークにおいても男性を含む継続的な働き手を養成することへの取り組みが重要視されている。本研究を通して、ケアワーカーのキャリア意識の性差を把握する試みから得られる知見は、現場における人材育成と人材確保という課題にいくつかの示唆を与えてくれるであろう。
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