2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語における実践的コミュニケーション能力のモデル化
Project/Area Number |
20720162
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
和泉 絵美 National Institute of Information and Communications Technology, 知識創成コミュニケーション研究センター 言語基盤グループ, 短時間研究員 (80450691)
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Keywords | 第二言語習得 / 学習者の語彙使用 / 語彙知識の深さ |
Research Abstract |
(1) 日本人による自由英作文の収集(23名分)~英語母語話者による添削 日本語母語話者による英作文(150~300語程度)を収集し、その中で使用されている語彙を対象に英語母語話者による添削を行った。「研究実施計画」では既存の英語学習者コーパスThe NICT JLE Corpusに対する通じやすさ情報とエラータグの付与を予定していたが、被験者の語彙知識に関する情報を取得することにより、分析の更なる深層化を図ることができると考え、計画を変更した。また、被験者の語彙知識に関する情報を収集するためには、The NICT JLE Corpusの被験者とコンタクトを取る必要が生じるが、研究実施時点でそれが難しかったため、新たな被験者を対象にデータ収集を行うことにした。 (2) (1)の被験者の語彙知識テストの実施 (1)の被験者を対象に、語彙知識を測るテストを実施した。このテストでは、被験者の理解語彙(読んで意味を理解できる語)の範囲と、それらに関する知識の豊富さ(=深さ)を測る質問が問われた。 (3) (1)と(2)の結果を元に、語彙知識と語彙使用実態の関係を分析する (1)で得られた被験者の語彙表出結果と、(2)で得られた被験者があらかじめ持っている語彙知識との関係を分析し、語彙知識の深さによって表出結果(学習者による語彙の使用実態)に差異が出ることを確認した。具体的には、語彙の知識が深いほど正しく使える確率が高くなり、知識が浅くなるにしたがって「表出できるが不自然な使い方になる」→「表出できるが誤った使い方になる」→「表出できない」という風に表出結果に変化が見られた。この分析によって得られた知見は、多くの外国語学習者が陥る「知っている語彙なのに使えない(二理解語彙が使用語彙に発展しない)」というジレンマを解消するための語彙指導法改善に寄与し得ると考える。
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