2010 Fiscal Year Annual Research Report
可視化される「ナショナルヒストリー」-アジア・ヨーロッパの歴史博物館の展開と現在
Project/Area Number |
20720246
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
寺田 匡宏 国立民族学博物館, 外来研究員 (30399266)
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Keywords | 文化人類学 / 西洋史 / 東洋史 / 日本史 / 歴史表象 / ナショナルヒストリー / 博物館 / 展示 |
Research Abstract |
博物館におけるナショナルヒストリー表象の特色を博物館人類学の方法で研究するため現地調査とそのデータの分析を行った。おもにヨーロッパを中心に、フランス、ドイツ、イタリア、ベトナムの歴史系の博物館においてナショナルヒストリーがどのように表象されているかを調査した。また現代展示がオープンした日本の国立歴史民俗博物館の調査も行った。 日本と海外の施設を調査することでナショナルヒストリーが博物館で表現される際の現代的動向を明らかにすることが出来た。たとえば、ベトナムのように建築・展示とも比較的伝統的な展示を行っている社会が存在する一方、昨年調査したイギリスのようにグローバルに活躍する現代建築家による大胆な展示施設を1990年代から2000年代にオープンさせた社会が存在する。またドイツ、日本のようにナショナルヒストリーを展示する歴史博物館を新しくオープンさせたり、長く未完成だった状態を終結し完成させた社会が存在する。グローバルに展開する博物館展示の動向の影響下にある社会とそれとは距離をおいた社会の違いが博物館施設という物質的な側面に影響を与え、それがナショナルヒストリーの表現にも及んでいることが明らかになった。後者においては、巨大な建築と巨大な展示空間が特徴である。これは、現代の美術館においても見られる特徴である。ナショナルヒストリーが博物館で表現される際の特徴として芸術表現とも共通する特徴が見られることも明らかになった。
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