2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730153
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
臼井 恵美子 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (50467263)
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Keywords | 労働経済学 / 応用計量経済学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、まず、労働者の能力のうち観察されにくい能力を、労働者を雇用している企業が習得しているのかを明らかにし、そして、この労働者の観察されにくい能力に関する情報は、その労働者が転職した際に、外部の(特に転職先の)企業に伝達されているかを明らかにすることである。これらを明らかにすることにより、実際に労働者の賃金がその労働者の能力を反映したものであるか、そして、労働者の観察されにくい能力が外部の企業に伝達されることにより労働市場の効率性が保たれているかが検証できる。既存の研究においては、この問題に対し、さまざまな試みがなされているものの、統一的な見解はいまだに得られていない。本研究では、まず労働者の転職行動モデルを構築する。そして、そのモデルを労働者が学校卒業後から毎年追跡している米国のパネル調査を用いて構造推定するという方法で分析する。分析の結果、企業は企業内に留まる労働者が持つ観察されにくい能力を習得して評価していく一方で、労働者が転職する場合は、転職先の企業はその労働者を観察できる能力を用いて評価しており、観察できない能力は十分に伝達されていないということが実証された。
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