2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域ブランドにおけるコミュニケーション戦略に関する研究
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20730281
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
徳山 美津恵 Nagoya City University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80363951)
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Keywords | 地域ブランド / コミュニケーション戦略 |
Research Abstract |
少子高齢化を始めとする日本の経済力低下の中で地方の疲弊が叫ばれて久しい。本研究は、地域活性化の新たな手段となりうる地域のブランド構築に関する研究の中でも、特に研究の少なかったコミュニケーション戦略に焦点を当てている。具体的には、本研究では、営利企業のような潤沢な広告予算のない地域がブランド化するにあたって、どのようなコミュニケーション戦略を取るべきかについて考察している。 地域において重要なことは、地域のもつブランド資産を、地域を訪れる消費者の体験価値につなげることである。ここでの「体験価値」は、シュミットを始めとする経験価値マーケティングの議論から出てきた議論と、和田ら(2009)の地域ブランドに関する調査結果から得られた価値モデルを参考にしている。 本研究では、様々な地域におけるフィールドワーク調査(金沢市、小布施市、日田市など)によって、消費者が地域でとりうる行動をプロセス化し、そのプロセスに合わせた地域ブランド・コミュニケーション・モデルを構築している。このモデルでは、コミュニケーション戦略を消費者が地域に訪れるまでのバーチャル・コミュニケーションと、訪問後のリアル・コミュニケーションに分け、それぞれのパートが目指す目的と、それに対応して、地域関係者が実施することのできる方策を整理している。このモデルを用いることで、様々な地域でバラバラに行われてきたコミュニケーション活動の統合化ができ、地域のブランド・コミュニケーション活動がより戦略的、効率的に行われると考える。ただし、このモデルの有効性に関する実証は、今後の課題として残されている。最後に、その成果の一部は、『地域ブランド・マネジメント』(有斐閣)の「第6章コミュニケーション戦略」にまとめる事ができた。
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