2008 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習ボランティア・NPOの人材育成・確保メカニズムに関する調査研究
Project/Area Number |
20730510
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
後藤 武俊 University of the Ryukyus, 生涯学習教育研究センター, 講師 (50451498)
|
Keywords | NPO / ボランティア / 人材育成 / 人材確保 / 協働 |
Research Abstract |
本年度は、NPOに対する支援と行政への政策提言を主に行っているNPO(中間支援組織)の事例、および行政の生涯学習事業を通じて育成されたNPOが、事業の管理・運営を委託されている事例を中心に調査を進めた。併せて、学校教育やまちづくりにおいて行政とNPOがどのような連携・協働を行っているのかという視点から、地方公共団体への訪問調査も実施した。 まず、NPOに対する調査では、訪問調査と同時にNPOで働く個人に対するアンケート調査を行い、職員・ボランティアともに人間関係の広がりを成果として挙げる一方、必要な技能・専門性を身につける機会が少ないことを課題として感じていることが明らかになった。これは、NPOが必要な技能・専門性を自前で育むことの難しさを示すものであり、この点を克服するためにどのような人材育成策がありうるのかという、翌年度以降の調査課題を導くことになった。そのほか、職員(非常勤を含む)は金銭面の不安を強く感じていること、ボランティアは人間関係の固定化を課題として感じていることなどが明らかとなった。これらの研究成果は、NPOと行政の協働に関する基礎的検討とあわせて、雑誌論文(2009年3月)にて公表している。 また、NPOが地域の生涯学習事業の管理・運営を行っている事例(墨田区)については、当初は行政が人材育成面で密接に関わり、次第にその機能をNPO自身に移していった点で注目されるものであったため、日本教育制度学会にて研究発表を行った。 最後に、地方公共団体への訪問調査では、市町村合併等の動向下で、「まちづくり」などに関してはむしろ自治会単位の活動が活性化しつつあることや、それに呼応するように生涯学習事業の所管は首長部局に移行しつつあること、他方で社会教育行政は学校教育に接近しつつあること、などの変化が見て取れた。これらの研究成果の公表は翌年度以降に行う予定である。
|