2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ対生成実験に向けたリドベリ原子の高効率生成
Project/Area Number |
20740138
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福見 敦 Okayama University, 理学部, 助教 (40426656)
|
Keywords | ニュートリノ質量 / 原子物理 / レーザー / 超放射 |
Research Abstract |
岡山大学では、励起原子からのニュートリノ対生成を利用したニュートリノ質量の精密測定を計画している。本研究では、リドベリ原子のような寿命の長い準安定励起状態の原子集団を効率的に生成する手法の開発を行った。標的は気体バリウム原子の準安定状態を用いることにした。高密度の気体バリウム標的を生成するため、ヒートパイプオーブンを製作した。バリウム標的の6s-6p遷移にチューンした波長554nm、パルス幅3nsのレーザー光をヒートパイプに照射した。 結果、6p-5d遷移の波長1500nmの超放射が観測された。超放射は原子同士が協同して放射を起こす現象で、原子数の2乗に比例して遷移強度が増幅される。 1500nmの超放射は、554nmレーザーパルス照射から、数nsの遅延時間で観測されており、6p-5d遷移の自然放出(寿命3μs)に比べて、短い時間で準安定状態へ占有数が移行されていることになる。この1レーザー照射の場合、自然放出を通じてターゲットのコヒーランスが自発的に発展するため、超放射に遅延時間が生じる。そこで、554nmレーザーに加えて、1500nmのトリガーレーザーを入射してやることで、コヒーランスの発展を促し、より短い時間で、効率的に準安定状態へ占有数を移すことを試みた。結果、1レーザー照射の場合と比べ、より短い遅延時間で、強い超放射が観測され、7%のバリウム原子を、数nsの時間で基底状態から準安定状態へ移行させることに成功した。
|
Research Products
(2 results)