2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740146
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
井上 開輝 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70388495)
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景輻射 / 宇宙の非一様性 / 大規模構造 |
Research Abstract |
本研究は、宇宙の局所非一様性に関する観測データを用いて、ダークエネルギー、ダークマター(暗黒物質)のモデル、および重力理論の変更によって宇宙の加速膨張を説明する代替重力理論に新たな制限を付けることを目的とする。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)銀河座標系での南半球に存在する宇宙マイクロ波背景輻射の温度が異常に低い領域(Cold Spot)を最終散乱面近傍の効果だけで説明するのは困難である。宇宙項を含む平坦な標準FRWモデルでCold Spotを説明するには赤方偏移zが1に近い位置に線形の低密度領域(ゆらぎの大きさは0[0.01]程度)があり、領域の内外で揺らぎの質量相殺が若干破れていることが必要であることが判明した。このモデルでは線形低密度領域と最終散乱面上の線形高密度領域が視線方向に重なっていることが必要であるが、その確率は0.7%しかないことも分かった。もし低密度領域が存在しない場合はCold Spotを観測する確率は0.1%程度である。 (2)波数0.01h/Mpc以下の大スケールにおいて実効的な重力定数が増加し、その結果重力ポテンシャルが減少すれば、非線形効果により、ポテンシャルの時間進化による積分Sachs-Wolfe効果は負の密度揺らぎに対しては増大するので、Cold Spotやスタック像から得られた負の温度揺らぎの振幅の大きさを説明することが可能であることが判明した。
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Research Products
(2 results)