2008 Fiscal Year Annual Research Report
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の核磁気共鳴(NMR)による研究
Project/Area Number |
20740200
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 治一 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (60363272)
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Keywords | 強相関電子系 / 物性実験 / 低温実験 / 核磁気共鳴 / ペロブスカイト酸化物 |
Research Abstract |
1. f電子を含まないながらも、低温で重い電子的な挙動を示すCaCu_3Ru_4O_<12>(CCRO)について、Cu核・Ru核NQR/NMR測定をそれぞれ行った。Cu核の1/T_1TおよびナイトシフトKは二つの特性温度を境に顕著に温度変化し、電子状態が温度によって変わることを見いだした。二つのサブバンド模型の上にたち、CuサブバンドからRuサブバンドへの電荷移動が起こっていると説明される。なお、高温部分の1/T_1Tの振る舞いおよび絶対値により、Cu核に局在モーメントがないことがはっきりと示される。このことは、重い電子の原因が(従来提唱されていたような)高濃度近藤格子描像によるものではないことを示唆している。Ru核1/T_1Tの増強が示すようにRuサブバンド内の電子相関がその主因かもしれない。 2. CCROとの比較のために、CaをLaで置換してCu/Ruの電子数を変化させた化合物LaCu_3Ru_4O_<12>(LCRO)を作成しCu核NQR測定を行った。CCROとは違い、1/T_1Tは温度変化せず一定の値をとる。このことは、CCROで見られたサブバンド間の電荷移動がLCROでは見られないことを示している。電荷移動の有無は電子数に大きく依存するようである。 3. Aサイト秩序型ペロブスカイト系の中でもCaCu_3Ti_4O_<12>(CCTO)は絶縁体である。Cu核のNMR測定を試みているが、CCROにみられた共鳴位置付近には信号を観測されていない。このことはおそらく、Cu電子の電荷分布が大きく異なっていることによるのであろう。CCRO/CCTOの伝導性の違いと関連していると思われ興味深い。 4. 次年度以降のNMR測定にそなえ、SrCu_3Ru_4O_<12>, (Ca_(1/2)La_(1/2))Cu_3Ru_4O_<12>, CaCu_3(Ti_xRu_<1-x>)_4O_<12>, などの合成に着手し、多くの系についてほぼ単相を得た。
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Research Products
(26 results)