2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流路内での血球・細胞の熱・電気特性計測技術の開発
Project/Area Number |
20760133
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 和也 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (90372854)
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Keywords | 赤血球 / マイクロ流路 / インピーダンス計測 / 可視化 / 変形能 / 流体制御 / 硬化赤血球 |
Research Abstract |
平成21年度は,平成20年度に作製したマイクロ流路とマイクロ電極から構成されるマイクロセンサを用い,ヒト赤血球について単一赤血球の電気特性と変形能特性の測定を行った.この時,細胞のインピーダンス特性(導電率・比誘電率)の把握と測定のS/N比向上のための電極表面の電気二重層の緩和を目的として,生理食塩水に懸濁した細胞に関するインピーダンス特性の理論解析および数値解析を行い,交流電圧の周波数に対する細胞と電極の電気特性について検討を行った.この場合,細胞膜と細胞質の特性をまとめたモデルを提案し,高い精度を維持したまま計算負荷を著しく低減することが出来た.これらの結果を考慮して実験条件を設定することで測定精度の向上を図ることが出来た. 測定では,正常ヒト赤血球およびCa2+イオンとイオノフォア(A23182)を用いた硬化赤血球を用い,赤血球の変形能測定を行った.さらに,高速度デジタルカメラを用いて赤血球の電極間通過時の様子を撮影し,赤血球形状と抵抗およびその波形の関係を比較した.その結果,抵抗値の時系列分布の特性を示す指標である半値幅が,赤血球の形状と良い相関を示すことが分かった. この指標を用いて正常赤血球,硬化赤血球,球状赤血球それぞれのサンプルについて検討を行い,赤血球形状の識別が可能なセンサとして本手法の妥当性を示すことが出来た.これらの結果は1本の国際雑誌,1本の国内雑誌,4本の学会発表で成果発表を行っている.また,赤血球の3次元形状を測定可能なセンサの開発を開始しており,本研究課題をシーズとした新たなプロジェクトとして進める予定である.
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