2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境地盤工学的視点からみた地盤材料の促進曝露試験法とその解釈法の高度化
Project/Area Number |
20760314
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
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Keywords | 土壌圏現象 / 地盤工学 / 環境質定量化・予測 / 重金属 / 促進曝露試験 / 建設発生土 / 焼却灰埋立地盤 |
Research Abstract |
建設工事における環境負荷の低減,サスティナビリティの担保が必須の課題となっていることを背景として,使用済み建設資材や他産業から排出された廃棄物を建設資材として再使用,再資源化するための施策が積極的に進められている。このとき、材料の長期的な物理化学特性の変化や廃棄物再資源化材料の長期的な環境影響をあらかじめ確認することが重要となる。その試験方法としては促進曝露(劣化)試験が一般的に用いられるが,試験方法,判定基準などが定められていないという問題があることから,本研究では実際の環境条件に曝露された材料と促進曝露された材料の物理化学的特性を比較,分析することによって、試験方法,判定基準設定のための科学的根拠を見いだすことを目的とする。平成22年度はトンネル工事やダム建設の際に発生する掘削岩石・土壌のうち,自然的な原因でヒ素(As)、鉛(Pb)を含有するものを対象として、1年以上に渡る屋外曝露試験を実施し,実環境中における溶出挙動の観測を行った。さらに,バッチ溶出試験、タンクリーチング試験、酸化可能性試験,酸性化条件下での溶出試験を行い、屋外曝露試験結果との比較・検討を行った。その結果、酸性岩に含有するAsは黄鉄鉱などの酸化分解によって溶出してくることから、全含有量試験と酸性化可能性試験を行いAs含有量と長期的な酸性化の可能性を把握することで溶出リスクの評価がおおむね可能であることが明らかになった。また,過酸化水素水を用いた促進酸化がどの程度の屋外曝露期間に相当するかについての相関に関する知見を得た。その一方で、溶出濃度自体は一般的なバッチ溶出試験での評価が化学的活性の高い岩石において非常に難しく、カラム溶出試験においても破砕粒度の影響で適切に濃度を評価できない可能性が示された。
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