2010 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の道路計画への戦略的環境アセスメントの適用に関する研究
Project/Area Number |
20760339
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松行 美帆子 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (90398909)
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Keywords | 戦略的環境アセスメント / 交通計画 / 道路計画 / イギリス |
Research Abstract |
本年度はイギリスの地方交通計画(Local Transportation Plan:LTP)と道路計画に対する戦略的環境アセスメントの実施実態調査をヒアリングと関連文献調査を中心に調査を行った。 地方交通計画に関しては、投資についての優先順位に関する複数案が立案されることが多く、戦略的環境アセスメントは地方レベルにおいては大きな影響を与えると言うよりは、計画プロセスをシステマティックにすることや、負の影響に対するミティゲーションを提示する役割を果たしていることが明らかになった。 道路計画への戦略的環境アセスメントについては、スコットランドのフォース・リプレイスメント道路(Forth replacement)に関する調査を行った。複数案の立案方法、市民参加について特に焦点を絞って調査を行った。複数案の立案や選択の過程で、ガイドラインには定められていないが市民参加を行ったが、市民の戦略的環境アセスメントへの関心は薄く、複数案の選択においても環境面よりも経済面が優先されたことが明らかになった。 また、Channel Tunnel Rail Linkに関しても、民間事業者であるARUP社が代替案を提出し、それが最終的に採用された経緯について調査を行った。 以上の調査の結果、イギリスにおいては道路のルート選択はEIAの中で複数案の立案と評価が行われることや、経済や政治的判断が大きく影響をするため、交通計画、道路計画への戦略的環境アセスメントの影響は、土地利用計画ほどその影響力は大きくはなく、戦略的環境アセスメント制度に大きな課題が残っていることが明らかになった。
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