2010 Fiscal Year Annual Research Report
歩行、小走りを模擬した衝撃源の開発と界床の快適居住性能の評価に関する研究
Project/Area Number |
20760397
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Research Institution | Kobayasi Institute of Physical Research |
Principal Investigator |
中森 俊介 (財)小林理学研究所, 建築音響研究室, 研究員 (70342665)
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Keywords | 建築環境設備 / 人間生活環境 / 床衝撃音 / 生活騒音 / 居住性能 |
Research Abstract |
建築内外からの騒音に対する遮断性能の向上、居住者意識の向上などから最近の集合住宅においては常識を逸するような大きな発生音が問題となる例は少なくなっている。一方で、居室の暗騒音が低下したため、上階の歩行及び小走りの音、配管からの給排水音のような日常発生する低レベルの騒音が顕在化するようになってきた。そのため、実衝撃源(人)による床構造への標準的な衝撃力が再現される模擬衝撃源による検討が必要であると考えられる。小走り音と周波数特性が似通った標準衝撃源としては、JIS A 1418-2附属書1に規定されるゴムボールが挙げられるが、単発のピーク音圧を測定・評価するため、連続性のある実際の小走り音のイメージと結びつかない可能性がある。そこで連続打撃が可能な小走り衝撃音の発生装置を製作することとした。 最終年である昨年度は標準的な成人の小走り衝撃力に調整した衝撃ヘッドを自動衝撃装置に取付け、衝撃力、打撃間隔、回転速度、リフトアップ機構の検討を行った。衝撃力については、衝撃ヘッドの質量が大きいため、モーターの回転トルク不足や拾い上げの際のガタツキ音が生じたことから容量の大きいモーターへの変更、リフトアップ機構に防振性の部材を使用するなどの改良を施した結果、安定した衝撃力を床構造へ入力できるようになった。しかしながら、測定される下室の床衝撃音は実衝撃源によるものより10dB以上大きく、駆動時の装置本体から脚を介して床に入力される2次音(固体音)が原因であることがわかった。支持脚に振動絶縁対策を施すことにより、剛床上では小走り衝撃音の主成分である1/3オクターブバンドの50~125Hz付近まで対応が取れるようになった。これからの課題として、様々な剛性の床材に依存する実衝撃力への対応、駆動時の装置の揺れを軽減するために装置の簡素化と低重心化などが挙げられる。
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