2008 Fiscal Year Annual Research Report
小型地上局クラスタによる新方式VLBI軌道決定システムの基礎実験
Project/Area Number |
20760546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 祐二 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (50431523)
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Keywords | 人工衛星 / 軌道決定 / VLBI / 電波干渉計 / 月探査 / 火星探査 |
Research Abstract |
本課題では, 申請者が特許申請した新方式VLBI(超長基線電波干渉計)軌道決定手法を用いて, 既存の低高度地球周回衛星を3局によるクラスタ型小規模地上局で観測する。軌道決定精度を評価し, 受信・データ解析に必要な装置, および処理アルゴリズムの効率化を検討する。決定精度の目標値は, 1m未満に設定する。 本研究を発展することで, 月・火星探査衛星の新方式軌道決定システムの実用化が期待できる。惑星表面に受信機ユニットを2機以上投下し, 地球からの観測を介さずに, 惑星表面上のみで軌道決定観測系を構築する。技術課題は「構成装置・データ処理の単純化」であり, 本研究課題の成果を応用できる。 平成20年度は, 研究代表者が所属する東北大学において, VLBIシミュレータを構築した。このシミュレータは, 2台の電波干渉計受信局で構成するVLBI観測系を模擬するものであり, 1台は実際の受信機を利用し, もう1台はコンピュータで模擬する。1台の受信機は実際に人工衛星を観測するため, 観測誤差の原因特定やその除去対策など, 実用に則した軌道決定アルゴリズムの改善が実施できる。もう1台の受信機観測値をコンピュータで疑似生成することで, 数100km離れた場所の受信局を仮定することが可能になる。 また, 電波干渉計シミュレータを用いて測定するデータの収集および解析に関して効率化を検討した。これまで, 研究代表者は軌道決定ソフトウェアODEFを開発している。本課題では2局以上の観測局からネットワーク経由で得られるデータを基に「位相差観測値」を算出するが, 大容量データになるためデータ収集および解析の効率化が欠かせない。
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