2008 Fiscal Year Annual Research Report
過渡的流体力特性を考慮した高性能翼機構に関する研究
Project/Area Number |
20760560
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 卓司 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 助教 (40444707)
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Keywords | 非定常流体力 / 過渡的流体力 / ラージェディシミュレーション / 翼面付加物 |
Research Abstract |
本研究では, 急操舵時の舵など過渡状態における翼機構の性能に着目し, 急激な迎角変化に対しても, 安定かつ高い揚力を発揮する翼機構の実現に向けた研究を実施している. 具体的には, 一定迎角の静的状態で翼性能を向上させる翼面付加物が過渡状態において発揮する効果とそのメカニズムについて実験計測と数値解析の両面から解明し, 過渡状態における高性能翼機構の実現を目指している. 本年度は, 静的状態における翼付加物の効果を確認するとともに, 過渡状態における翼性能評価のための手法や装置の構築と検証を行った. 実験計測に関しては, 瘤状突起形状に代表される各種翼面付加物形状の静的状態における効果について, 大型回流水槽を用いた実験により検証した. スパン長の異なる翼模型を用いた計測の差分から, 翼端影響を排した2次元翼形状における流体力特性を評価した. これにより, 静的状態における各付加物の流体力学的基本特性を確認し, 今後の過渡的流体力特性の評価に必要な指針を得た. また, 既存の水槽計測装置の検力部に回転アクチュエータを付加し, 動的な迎角制御と過渡的流体力の計測が可能な実験計測装置を構築した. さらに, 回転する箱状物体に作用する過渡的流体力を計測して, 数値解析結果と比較検証した. 数値解析に関しては, 静的状態における無限スパン翼周り乱流場のラージェディシミュレーションを実施し, 流体力特性の再現と評価に必要な解析手法の検証を行って, 定性的な流体力特性の再現を確認した. また, 過渡状態を表現する手法としてALE法による移動格子法を用いた数値解析手法に着目し, 同手法を用いた箱状物体に作用する流体力の数値予測を行って, 先述の検証実験結果と比較を行った. その結果, 両者は良い一致を示し, これによって実験と数値解析の両面から過渡的流体力特性計測とメカニズム解明のためのシステム構築と検証がなされた.
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