2009 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻ワカメにおける温度要求性と集団間の遺伝的分化の相関
Project/Area Number |
20770064
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上井 進也 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (00437500)
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Keywords | ワカメ / 褐藻 / 集団分化 / 遺伝的多様性 / マイクロサテライト / ミトコンドリアハプロタイプ / 成熟率 / 遺伝子流動 |
Research Abstract |
北関東沿岸に分布する2つのハプロタイプグループの5集団について、核ゲノムコードのマイクロサテライトマーカー4遺伝子座をもちいて、遺伝的分化の解析を行った。対立遺伝子頻度においては、全ての集団に共通するアレルが多いものの、ミトコンドリアハプロタイプと対応するように、茨城県十王と福島県小名浜の集団の間で、優占するアレルの大きな変化が見られた。解析ソフトStructureを用いて、地理的構造をみたところ、5集団が、より顕著に2つに分かれることがしめされた。グルーピングはハプロタイプグループと対応しており、解析に用いた集団はいずれも同種であり、分布が地理的に連続しているにも関わらず、ミトコンドリアゲノムにおいても、核ゲノムにおいても、明確に2つの遺伝的に分化した集団が認識できることが確認された。一方で。sturucreを用いた解析においては、2つの遺伝的グループの間に、わずかながらも遺伝的交流があることが示唆された。母性遺伝をしめすミコトンドリアでこのような遺伝子流動が検出されなかったことを考えると、核ゲノムで示唆された遺伝子流動は、雄配偶子(精子)によるものと考えられる。 培養実験の結果では、最も北方に位置する小名浜の集団が、他の集団より高い温度(22℃)において成熟率が下がる傾向が、雌配偶体において確認された。ただし、各集団内での変異幅が大きく、有意性は示されなかった。今後は、成熟温度のみではなく、生育適温に注目して仕事を進める必要があると考えられる。
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