2010 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻ワカメにおける温度要求性と集団間の遺伝的分化の相関
Project/Area Number |
20770064
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上井 進也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00437500)
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Keywords | 褐藻 / ワカメ / 種合化 / 遺伝的多様性 / 温度要求性 |
Research Abstract |
平成21年度につづき、核ゲノム上にコードされているマイクロサテライトマーカー4遺伝子座について解析をすすめ、5集団165個体について解析を終えた。165個体・4座位に基づく結果では、サンプル中に2つのグループが明確に区別できることが分かったため、両グループ間の遺伝子流動をより正確に推定するために、さらに別の4座位について解析を進めた。 培養実験については、前年度に引き続き、配偶体の成熟条件についての検討・比較を行った。前年度までよりも実験の条件をひろげ、短日条件のみではなく、長日条件下においても成熟率の測定を行った。その結果、実験に用いた銚子、十王、小名浜のいずれの株においても、長日条件(16時間明期/日)下で、短日条件(8時間明期/日)にくらべ著しい成熟率の低下が観察された(たとえば、小名浜では、15℃・16時間明期条件;3.9%、15℃・8時間明期条件;63.9%、20℃・16時間明期条件;0.3%、20℃・8時間明期条件;41.3%、いずれもn=8-11)。この結果は、これまで報告されてきたワカメの温度要求性と一致する。一方で、銚子、十王、小名浜のいずれの株においても、数値に多少の違いはあるものの、同様の傾向が見られ、配偶体の温度要求性が、北関東においてワカメの集団構造を維持する主たる要因である可能性は低いという結論にいたった。
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