2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770136
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉岡 研一 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 研究所, 主任研究官 (70321916)
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Keywords | ミスマッチ修復 / ゲノム不安定性 / マイクロサテライト不安定性 / クロモソーマル不安定性 / DNA複製ストレス / NDA損傷 |
Research Abstract |
本研究では、「細胞のがん化過程」を抑制制御する機構の解明を最終目標としている。この最終目標のため、当該年度には、1)老化に伴って蓄積したDNA損傷が誘導するゲノム不安定性に対する解析、2)老化に伴って蓄積したDNA損傷が誘導するDNA上の変異に対する解析、3)DNA損傷によって誘導された変異やゲノム不安定性に対する防御機能解析、を実施した。 特に、ミスマッチ修復能の有無によってクロモソーマル不安定性が生じる場合と、マイクロサテライトに不安定性が生じる場合とに、差異が生じることから、それぞれが発生する過程のメカニズム、その時のミスマッチ修復因子の分子制御に注目して研究を実施した。その結果、ミスマッチ修復因子が存在する場合にはDNA複製ストレスに伴う損傷が修復されず、細胞周期を超えての持越し、テトラプロイド型を生じることを見出した(Ichijima et al.,2010)。また、老化細胞において「H2AXレベルが減少することが、DNA複製ストレスに伴う損傷が修復されないことの原因であること」を見出し(Yoshioka et al.,投稿中)、さらに、Arf/p53系などの決定的な制御系の破綻がゲノム不安定性導入に伴って生じること(Ichijima et al.,2010)、を見出した。ミスマッチ修復欠損の場合はクロモソーマル不安定性を伴って細胞の不死化が誘導されないことが見出されたが、その原因を明確にするためには、さらに解析が必要である。
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