2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770168
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 仁 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (90455816)
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Keywords | 四肢 / 発生 / Xenopus / 再生医学 / transgenesis |
Research Abstract |
アフリカツメガエル(以下Xenopus)は幼生期においては四肢を切断されても完全に再生できるが、変態が完了した後のカエル(froglet)では軟骨のみからなる一本のスパイク状構造しか再生できなくなる。前年度までの研究で、幼生期の四肢再生にはWnt/β-cateninシグナリングが必須であるが、frogletの再生には必須ではないことを明らかにしていた。イモリやサンショウウオと同様に、frogletの再生は四肢に入り込む神経からのシグナルに依存することが知られているが、神経の数が減った状態でWnt/β-cateninシグナリングをブロックするとfrogletでも四肢再生が阻害されることを示す実験を前年度から本年度にかけて行った。さらに本年度では四肢領域の神経をほぼ全て除き、そのままでは四肢再生を行えない除神経frogletに対して、Wnt/β-cateninシグナリングを活性化させる働きのあるGSK3阻害剤(BIO)を作用させると再生が回復することを発見した。これらの結果から、成体期における四肢再生ではその開始過程においてはWnt/β-cateninシグナリシグよりも神経からのシグナルが重要な働きを担っているが、両者の機能は互いに補い合える相補的な関係にあることが明らかになった。 またshh遺伝子の発現を制御するゲノム上の遠位エンハンサー領域を組み込んだトランスジェニック(Tg)個体を作製して、基本的に四肢発生の過程でのshhの発現パターンを再現しうることを前年度に確認したが、本年度はこれらTg個体を性成熟する段階まで育てライン化を可能にするとともに、四肢再生の過程でもshhの発現パターンを基本的に再現できることを明らかにした。再生能の低下した四肢の再生芽の後側においてshhを発現させ、四肢再生能の回復を図る上で重要な知見になると期待される。
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Research Products
(8 results)