2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780007
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
安倍 史高 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所麦類遺伝子技術研究チーム, 主任研究員 (30370547)
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Keywords | 形質転換効率 / コムギ / 組織培養 / 網羅的発現解析 |
Research Abstract |
本研究では、形質転換が困難な日本コムギ栽培品種での効率的な形質転換系の確立に向け、コムギの形質転換効率を大きく左右する遺伝子を同定することを目的としている。これまでに、形質転換実績の高い外国コムギ品種「Bobwhite」を用いた網羅的遺伝子発現解析から、形質転換における独自の改良条件(外植片の前処理、高浸透圧培地でのカルス選抜培養)により特徴的な発現変動を示す20個の遺伝子を選定した。 「Bobwhite」と形質転換が困難である日本コムギ栽培品種「農林61号」を材料として用い、選定した遺伝子の組織培養中の発現状況を解析するため、外植片の前処理と培養中の浸透圧条件の4つの組合せで、培養前の未熟胚と培養カルスを継時的にサンプリングした。選定した遺伝子の発現状況をRT-PCR法で調査した結果、外植片への前処理による遺伝子発現の変動が再現された遺伝子については、品種間で発現量が明瞭に異なる遺伝子はなかった。また、高浸透圧条件により発現が変動する遺伝子については、RT-PCR法では再現よく発現変動が確認されなかった。このため、品種間の不定胚形成能の差異と相関して発現が変動している遺伝子は得られなかった。 コムギ品種間での形質転換効率の差異の原因となる遺伝子を同定するには至っていないが、コムギの組織培養においてこれまでに報告のない遺伝子の発現挙動が明らかとなった。
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