2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20780153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 元 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (30466809)
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Keywords | 脂肪蓄積 / 代謝 / トラフグ / マダイ / PPARγ / LPL / Foxol / 成長ホルモン受容体 |
Research Abstract |
魚類の主要な脂質蓄積部位は魚種ごとに異なっており、トラフグのように主に肝臓に脂肪を蓄積する種と、マダイのように肝臓と筋肉の両方に脂肪を蓄積する種に大別される。そこで昨年度は、トラフグおよびマダイの各組織につき脂肪蓄積を促進する転写因子ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)γ、細胞への脂質取り込みに重要なリポタンパク質リパーゼ(LPL)などの転写産物の組織分布を調べた。また、絶食させたトラフグで両遺伝子のmRNA蓄積量を調べ、絶食時に肝臓から筋肉に脂肪が移動する可能性を示した。 本年度は、絶食させたマダイの肝臓、筋肉および脂肪組織でPPARγおよびLPLのmRNA蓄積量を調べた。その結果、絶食時に筋肉へ脂肪を供給する主要組織は肝臓でなく脂肪組織であることが示唆された。また、絶食時の筋肉でPPARγのmRNA蓄積量が増大したことから、一時的に脂肪が蓄積されることが示唆された。肝臓や脂肪組織からの脂肪の放出は、成長ホルモン(GH)によって制御されることが複数の魚種で報告されている。そこで、トラフグからGH受容体をクローニングし、転写産物の組織分布を調べるとともに、GH受容体の下流で機能する細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)のcDNAクローニングおよび市販抗体を用いた同キナーゼの検出を行った。 さらに、脂肪蓄積に抑制的に働く転写因子Foxolに関する研究を行った。本分子は、脂肪蓄積を阻害する種々の遺伝子の転写を活性化するとともに、核内でPPARγと結合してその転写活性を阻害する。まずトラフグFoxolのcDNAクローニングを行い、転写産物の組織分布を明らかにした。また、トラフグFoxolをラットL6筋芽細胞で強制発現したところ、無血清状態はFoxolは核に局在することがわかった。現在は、トラフグFoxolの大腸菌発現系を構築し、PPARγとの結合実験を行っている。
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