2008 Fiscal Year Annual Research Report
水田からの浮遊土砂流出およびそのモデリングに関する研究
Project/Area Number |
20780170
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松井 宏之 Utsunomiya University, 農学部, 准教授 (30292577)
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Keywords | 水田 / 浮遊土砂 / 土砂収支 / 土壌保全機能 / 流砂系 |
Research Abstract |
沖縄県石垣市および栃木県宇都宮市の水田群において, (1)浮遊土砂収支を観測することを通じて, (2)両地区を比較することにより, 水田での浮遊土砂収支の特徴について明らかにした。なお, 石垣の水田用水は清浄で降雨中であっても浮遊土砂濃度が低く, 宇都宮では取水源となる河川の状況次第で高濃度となることがあった。 (1-1)無降雨時の浮遊土砂収支【石垣】荒代かき期・代かき期にあたる1月~3月には土砂流出量が大きくなる。【宇都宮】水田への流入水(灌漑用水)中の浮遊土砂濃度が低いときにはソース, 濃度が高いときには水田がシンクとなる傾向がある。 (1-2)降雨時の浮遊土砂収支【石垣】荒代かき・代かき期に降雨出水があると, とくに多量の浮遊土砂流出がある。【宇都宮】降雨出水があると浮遊土砂も同時に流出する。しかし, 多少の降雨では灌漑用水の取水を停止しないため, 浮遊土砂が流出する一方流入があり, 排出量が大幅に上回ったイベントは少なかった。 (2)比較および水田の特徴降水時の流出水量と浮遊土砂流出量の関係を調べた結果, 石垣の水田土壌が流出しやすい土性を持っていることが示唆された。また, 水田で期待される土壌保全機能は, 浮遊土砂を多く含んだ濁水の流入が前提となることが示唆された。 本年度得られた結果からも, 降雨の強弱・有無にかかわらず水田から水が流出する限り, 同時に浮遊土砂も流出していることが確認できた。また, 水田での浮遊土砂収支は流域流砂系のなかで捉え直す必要があることが示唆された。
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