2009 Fiscal Year Annual Research Report
水田からの浮遊土砂流出およびそのモデリングに関する研究
Project/Area Number |
20780170
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松井 宏之 Utsunomiya University, 農学部, 准教授 (30292577)
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Keywords | 水田 / 浮遊土砂 / 土砂収支 / 土壌保全機能 / 流砂系 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,沖縄県石垣市および栃木県宇都宮市の水田を対象として,浮遊土砂収支の観測,モデル適用の可能性,水田での動態把握に取り組み,以下のことを明らかにした。 (1)浮遊土砂収支【石垣】無降雨の代かき田植期には1日あたりの排出負荷量が20kg/haとなるのに対し,同じく普通期には1~5kg/haと大きく減少した。降雨時も含めた年間収支は4,470kg/ha(欠測あり)の排出であった。【宇都宮】無降雨の代かき田植期の差し引き負荷量が30kg/ha,普通期には10kg/haとなり,降雨時も含めた年間収支は流入負荷量が984kg/ha,排出負荷量が1,758kg/haとなり,差し引き負荷量は774kg/haの排出となった。【比較】普通期には宇都宮の水田の方がより多くの浮遊土砂を排出していることがわかった。この原因としては高濃度の濁水流出ではなく,水尻からの無効放流の増大が考えられた。 (2)浮遊土砂流出量に対するモデルの適用可能性【両地区】L(負荷量)-Q(流量)式,ΣL-ΣQ式,ΣL-ΣR(降水量)式について検討したところ,L-Q式の適用は容易ではなく,水田の洪水貯留機能を内在するΣL-ΣQ式の適用可能性が最も高いことがわかった。 (3)水田内での動態【両地区および室内実験】水田に流入する土粒子のうち,粒径が大きいものは水田内で沈降し,水田で巻き上がった細流土粒子が水田から流出している可能性が高いことが確認された。その際,田面に存在する土粒子は,田面内の流れそのものではなく,表層流れと逆方向に働く補償流によって巻き上がっている可能性が高いことがわかった。
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Research Products
(2 results)