2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 麻衣子 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30420235)
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Keywords | PAK / Akt / シグナル伝達 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、PAKがAktの基質特異性を制御することを見出した。そこで本研究では、PAKがAktの一部の生物学的機能のみを選択的に制御する可能性について検討を行った。PAKとAktの結合を阻害することが期待されるPAK上のAkt結合部位断片(350-407aa)を細胞に導入すると、増殖因子刺激依存的なマトリゲルへの浸潤性の上昇は顕著に抑制されるが、細胞生存およびタンパク質翻訳はあまり抑制されない、という結果が得られた。これらの結果から、PAKがAktの持つ細胞運動性/浸潤能に関わる機能を選択的に制御する可能性が示唆された。さらに、PAKがAktの機能を選択的に制御するメカニズムについて、PAKがAktのアイソフォーム特異的にスキャフォールド分子として機能する可能性に注目して検討を行った。我々の用いている繊維芽細胞にはAkt1とAkt2が発現しているが、Akt1が細胞運動性を促進するのに対し、Akt2は細胞運動性への関与が少ないことをまず明らかにした。そこで、PAKとAkt1、Akt2の関係について調べたところ、PAKがAkt2に比べてAkt1とより強く結合すること、Akt2に比べてAkt1をより強く活性化することが明らかとなった。従って、PAKがAkt1特異的にスキャフォールド分子として機能することにより、Akt1が持つ細胞運動性に関わる機能を選択的に制御している可能性が考えられた。
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