2008 Fiscal Year Annual Research Report
鼻腔内投与型医薬品開発における投与条件の最適化に関する研究
Project/Area Number |
20790153
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
古林 呂之 Shujitsu University, 薬学部, 講師 (00399156)
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Keywords | 鼻腔内投与型製剤 / mucociliary clearance / 経鼻吸収 |
Research Abstract |
本年度は、下記の研究計画1)〜4)を遂行した。 1)生理的条件におけるmucociliary clearance (MC)の評価と速度論的解析 ラット鼻中隔上の蛍光ビーズの移動を、蛍光顕微鏡を用いて経時的・視覚的に観察し、その移動距離と時間から移動速度の算出が可能となった。また、鼻中隔粘膜の繊毛細胞の繊毛運動を亢進あるいは減退させる薬物によるMCの増減をも評価可能であることが明らかとなり、本研究の成果により、in vitroで簡便に生理的MCを測定する手法を確立することができた。 2)薬物の物性とMCの関係が経鼻吸収に及ぼす影響 投与薬物のCaco-2透過性が遅い薬物では、MCによる咽頭への投与液の移動が鼻粘膜からの吸収を抑制する主要因であること、また、投与液の粘性に加え、投与される鼻腔内の位置により投与液の鼻腔内動態が影響を受け、薬物の吸収率が変動することが明らかとなった。 3)薬物の細胞層透過性における組織間差の検討 本検討は、ヒト呼吸器細胞を用いた薬物透過実験をAbsonption system社(米国)で実施した。膜透過過程が単純拡散の薬物では、ヒト大腸癌由来のCaco-2単層膜に対する透過性と近い値を示したが、輸送担体が関与している薬物では透過性は大きく異なった。両細胞間の輸送担体の発現程度に差があると考えられた。 4)鼻腔内投与後の粉末製剤の鼻腔内拳動 粉末製剤からの薬物吸収を評価するために、胸部圧迫により呼吸を極短時間停止させたラット鼻孔から粉末の薬物を投与した。薬物は圧縮空気の噴出に伴い粉末が鼻腔内に投与されるよう設計した。投与後の血中薬物濃度推移は、粉末投与の典型的なパターン(最高血中濃度到達時間の遅延、吸収の持続)が確認され、MCの機能を確保した粉末製剤のin vivo鼻腔内投与実験の実験手法を確立することができた。
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