2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌ペプチドと炎症収束メディエーターレゾルビンを用いた敗血症性ショックの制御
Project/Area Number |
20790341
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村上 泰介 Juntendo University, 医学部, 助教 (40384135)
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Keywords | 敗血症性ショック / resolvin / HMGB1 / エンドトキシン |
Research Abstract |
敗血症性ショックの病態では、炎症性サイトカインやhigh mobility group box-1(HMGB1)といった起炎性メディエーターの血中濃度が上昇し、生体がsystemic inflammatory response syndrome: SIRSの状態となる。一方、生体にはω-3系多価不飽和脂肪酸を前駆物質として、炎症収束性メディエーターレゾルビン(resolvin)が産生され、炎症性細胞のクリアランスや起炎性サイトカインの産生制御を通じて炎症を収束させるメカニズムが有ることが最近分かってきた。本実験では、D-galactosamine誘発エンドトキシンショックモデルマウスを敗血症動物モデルとして用い、DHA由来レゾルビンであるresolvin D1(RvD1)のエンドトキシンショックへの作用について検討し、以下の知見を得た。(1)RvD1は1-100ng/mlの濃度ではLPS刺激したマウスマクロファージ様細胞RAW264.7からのサイトカイン産生、HMGB1放出に影響を及ぼさなかった。(2)エンドトキシンショックモデルマウスにRvD1を腹腔内投与すると、血中MCP-1濃度の上昇が、1μg/mouseの投与量において有意に抑制された。さらに、HMGB1濃度の上昇もRvD1t投与により有意に抑制された。(3)モデルマウスの腹腔内細胞数の増加、腹腔内への好中球の遊走、肝細胞アポトーシスの増加に対してRvD1は抑制傾向を示したが、いずれも作用は弱いものであった。以上の結果により、RvD1は敗血症性ショックの病態においてMCP-1の産生、HMGB1の血中放出を抑制し、敗血症性ショックに対して抑制・保護的に働くことが示唆された。
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